クラナッハ(ルカス・クラーナハ)の描く女

ルーカス・クラナッハ(父)(1472年10月4日 クローナハで誕生、 オーバーフランケン – 1553年10月16日、ワイマールで亡くなる)
ザクセン選帝侯フリードリヒ3世の下で宮廷絵師として活躍。芸術を経済活動と考え、大型の工房を構えて絵画、版画を大量生産した。この工房はのちに父と同名の次男が継いでいる。

ルカス・クラーナハが描く女性の顔にはしっかりとした意志をもち、少しずる賢く、そして妙にリアルな色っぽさがある。

ホロフィルネスの首を持つユディト

ヘラクレスとオンファレ

ビーナスとキューピッド (1530年頃)

聖母子

ホロフィルネスの首を持つユディト2

不釣合いな恋人(不釣合いなカップル)

キリストと姦淫の女

ルーカス・クラナッハは1512年にバーバラ・ブレンジビアBarbara Brengebierと結婚、長男ハンスが生まれた。
1515年に次男が生まれ、自分と同じ名前にした。
ウルスラ、バーバラ、アンナの3人娘ももうけている。

男は女の顔に惚れるのだと思う。もちろん顔だけじゃないだろうけど、画家ならなおさら顔は重要な要素に違いない。

人の雰囲気は顔立ち、表情、スタイルと動作が相まって表現される。静寂の芸術である肖像画なら顔立ちと表情とスタイルだけで印象が表現される。
神話や聖書の一説がテーマでも同じことだろう。

いくつか作品画像を掲載しましたが、ユディトもヴィーナスも聖母も、ヘラクレスをからかう女のひとりも、はたまた姦淫の女さえも(クラナッハの次男が踏襲して描いたと見受けられる)同じ女の顔が描かれているように見受けられる。

ルーカス・クラナッハはよっぽどこの顔がお気に入りだったようだ。描き手の癖でこの角度だとどうしても同じ顔になってしまうのだとは考えにくく、意図的なものだと思う。何度も描いているユディト、聖母は構成は違ってもこの顔は変わらない。

この美女の顔のモデルは実在したのだろうか?この顔立ちは結婚以前には登場しなかったことから彼が40歳の年に結婚した妻バーバラが有力になってくる。

晩婚ながら5人の子供をもうけた妻バーバラは彼の理想を体現していたのだと想像する。
芸術を経済活動として考えていた彼が子や妻を描かなかったとしても不思議はない。
しかし作品に登場させていたのだとしたらどうだろう。堂々と作品のモチーフを演じさせていたのだとしたら。

もしそうなら晩婚だった彼の後半生は画家としてとても幸せだったのだろうと思う。
画家が理想とする女性と一緒に暮らす。
子をもうける。
パートナーの姿を習作としてデッサンする。
モデルとして作品に仕上げる。
また愛し合う。

妻バーバラは1541年に亡くなるが、81歳で亡くなる年(1553年)まで続いた精力的な彼の画業は愛した理想の女性像を体現した妻の思い出が支えたのだと考えてしまう。

関連作品も展示。クラナッハと親交厚かった友人がマルティン・ルター(Martin Luther、1483年11月10日 – 1546年2月18日)というところから当時の宗教関連資料も興味深いものだった。

日本初のクラーナハ展「クラーナハ展―500年後の誘惑」国立国際美術館(大阪)4月2日訪

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