ルートヴィッヒ・ティーク Ludwig Tieck(1773~1853)
ドイツのロマン主義を代表する作家・詩人・編集者
ジョージ・C・スコットの頑強なムードがその風貌にはある。
『金髪のエックベルト』
騎士の息子エックベルト。不思議な素性の妻。過ぎ去った出来事は、夢だったのか・・
エックベルトの唯一の友人ワルターに、ある夜、妻ベルタがその不思議な生い立ちを語る。
虐げられて家出をし、いくつも森や村を通りすぎ、やがてある老婆と出会う。その顔が一刻も休まず変化する老婆の、小さな犬と鳥と暮らす小屋へ案内され、一緒に暮らす。四年もの間、客一人来ない暮らしにいたたまれず、鳥とその鳥が産んだ宝石を奪い、留守の間に逃げ出してしまう。
両親はすでになくなっており、むなしくある町で暮らすことになる・・・
語り終えた後、事態は急変する。
本人がどうしても思い出せなかった老婆の犬の名を、ワルターがふと口にしたのだ。
寝込んでしまったベルタは憂鬱症にかかり、息を引き取る。
不安にかられたエックベルトは狩で出くわしたワルターを矢で殺してしまう。
ひとりで暮らすうち、若い騎士フーゴーと仲良くなるのだが、突然彼の顔がワルターに見える・・
亡霊に悩まされて旅立ったエックベルトが出会うのはあの老婆。
「・・悪事にはかならず報いがあるのだ。わしはお前の友人のワルターであり、フーゴーだったのさ」・・・
幻想の文学そのものといえる作品群にはただ驚かされるばかり・・