愛の嵐 The Night Porter(1973年)
愛の嵐 The Night Porter
ホテルのフロント係/元ナチ将校マックス
(ダーク・ボガード DIRK BOGARDE)
指揮者夫人/ルチア
(シャーロット・ランプリング CHARLOTTE RAMPLING)
1957年ウィーン ホテルのロビー
「こんなところで再会するとは!間違いない・・収容所の彼女だ。私が玩具にした美少女だ・・・」
「確かに彼だわ・・忘れることのできない心の傷を深く刻まれたあの毎日・・逃げ出したくても逃げられない囚われの身。遊び半分にピストルを向けられて裸で逃げ惑う私を、あの男は笑って見ていたわ。」
「あの時代を忘れることはできないが、葬り去ることはできる!何食わぬ顔で平穏に暮らすことだ。異常な時代の真っ只中で、つい調子に乗ってしまい、少々行き過ぎたのさ。あの頃は皆そうだったんだ!しかし生き証人はまずい・・。」
「狂った毎日だったけれど、あんな形でも、愛されていたことは認めるわ。私も彼を愛したんじゃないかしら・・その証拠にここを早く去りたいなんて夫に言ってたくせに、出発をずらしてチャンスを作っている。」
「そうよ!覚えているわ!痛みさえ楽しんだわたしたち・・
ああっ!また会えるなんて!嬉しいわ!」
「うれしいよルチア!こうしてまた抱きしめられるなんて!本当につまらない暮らしだった。おまえは私の唯一人の天使だったと考えていたのさ。」
「これからは一緒にいよう。もう離れない。」
「あの頃、確かに悲しかった。でも過ぎてしまえば歓びだけが蘇るの。全部憶えているわ。忘れるはずないじゃない。あなたは私を女にした最初の男(ひと)だもの・・・」
バンドネオンの調べ・・・
”私が愛するのは生きるため
そうでなければ楽しむためよ
たまには本気で愛することもあるわ
きっといいことがありそうな気がして
何が欲しいと聞かれれば
分からないと答えるだけ
いい時もあれば悪い時もあるから
何が欲しいと聞かれたら
小さな幸せとでも言っておくわ
だってもし幸せすぎたら
悲しい昔が恋しくなってしまうから”
*歌詞のみ引用(実際のセリフではありません)